2019年12月3日(火)

▼「災害時に市役所はあてにならない」のはその通りに違いない。「公助はあてにならない」というのも数々の事例が証明している。「自助の徹底」は命を守る最後の手段だろう。ただそれを市役所が言うか、と思うのである

▼鈴木英敬知事と亀井利克名張市長の「一対一対談」で、亀井市長は「最も大事なのは自助。その次が互助、共助で最後が公助」で「災害対策本部ができても1時間以内に何人職員が集まるか」と頼りないことを言った。短期集中災害の頻発で国、地方、関係機関の連絡体制はじめ機敏、適切な対応が一層求められている。市役所は、一抜けたと言うのか

▼「一対一対談」は県と協力することで前進する市町の課題に絞り、予算に反映させていくのが趣旨。市民に何か呼びかける場ではない。行政機関同士が「これからの防災・危機管理」を話し合う中で公助を最下位に自助、互助、共助の順位づけをするのも、どうかという気がする

▼行政責任を厳しく指摘した大川小判決に対し、鈴木知事は「命を守るため全力で取り組む思いを強くした。固定観念にとらわれず、あらゆる手段や方法を尽くして備える」。公助の不断の見直しと自助の呼びかけは対立はむろん、どちらが大事というものではあるまい

▼台風19号の被災地で高齢者、障害者中心に避難を呼びかけた行政区長の9割が、迷惑を掛けるなどの理由で断られたという。行政と地域との普段からの連携が欠かせない

▼災害対策本部体制が不安なら、情報伝達、指揮系統をどう確立するか、市が県に相談、協力を求めるのは、まずそこからだろう。