2025年5月8日(木)

▼最近よくニュースになる「カスハラ」(カスタマーハラスメント)だが、客からの暴行、脅迫、暴言、不当な要求に対して企業が従業員を守るために対応するなど、官民挙げて右往左往している

▼暴行、脅迫は警察案件だし、なぜ不当な要求や暴言が客から出るかは、根底にはある意味で日本特有の「お客様は神様です」のフレーズが商業主義的に使われ広まったことにも由来する

▼このフレーズは1960年代に歌手の三波春夫から始まり(諸説あり)、消費者と接する企業が従業員教育等でお客様目線のサービスを叫び続けた結果だと私は考察する

▼50年近く前に海外出張で外国の百貨店に立ち寄りネクタイを買おうとしたとき、店員は先客と応対しており、私は先客の買物が済む間に他のネクタイを見せて欲しいと頼んだが、店員は即答で「No! 私は今このお客さんと売買の応対中ですから後にして」と言われ、先客が立ち去った後に店員は満面の笑顔で「お待たせしました。どれをお見せいたしましょう」と応対された。小売であっても買い手と売り手の人と人の対等が商売の基本と教えてもらった

▼商売、小売でも「売買対等」の基本が日本では希薄だ

▼日本にも古くから「三方よし」の言葉があり、売り手よし、買い手よし、世間よしの三方が満足している状態で、売り手も買い手も適正な利益を得、社会にとっても利益となる戒め、常識を再認識したい。