三重県知事の公用車が交通違反 横断歩道で一時停止せず

一見勝之三重県知事を乗せた公用車が昨年11月、交通違反で摘発されていたことが22日、関係者への取材で分かった。横断歩道を渡ろうとしている歩行者がいたが、一時停止をしていなかった。公用車の運転業務を受託している事業者は、当時の運転手を担当業務から外したとしている。

関係者によると、公用車が交通違反をした現場は、県総合文化センター(津市一身田上津部田)付近。横断歩道を渡ろうとしている歩行者がいたが、公用車は停止せずに直進した。

パトロール中の警察官が違反を目撃し、運転手を呼び止めた。現場で任意の事情聴取をし、運転手に一時停止義務違反の青切符を交付。その後、運転手は反則金を納めたという。

一見知事は当時、公務で同センターに向かっていた。違反をした際は目的地に到着する直前で、一見知事は乗車中。警察官が運転手を呼び止めた際、一見知事は降車した後だった。

秘書課は運転業務を委託する事業者からの報告で交通違反を把握した。事業者の幹部らが翌日、県庁を訪れて担当者に謝罪。この運転手を担当業務から外したことを報告した。

県では近年、人手不足などの背景から公用車の運転業務を外部委託に切り替えている。知事の公用車についても、交通法規や守秘義務の順守などを条件に昨年度から外部に委託している。

秘書課は取材に対し、公用車の交通違反を認めた。「交通法規の順守や安全運転を事業者に強く要請した」と説明。「事業者が再発防止を約束している」として、外部委託は続ける方針。

公用車の運転業務を受託する「大新東」の親会社「シダックス」(本社・東京都)広報室は「安全運転の認識が不足していた。特別研修などを通じて再発防止に努めている」としている。

道交法は横断歩道を渡ろうとしている歩行者がいる場合、手前での一時停止を車側に義務付けている。県内の「停止率」は令和元年の調査で全国ワーストとなり、県警などが啓発に努めている。