「フェアナビ」を試験導入 桑名市ホームページ、自治体で全国初 三重

【会見で「フェアナビ」の実証実験開始を発表した伊藤市長(右)と山下社長=桑名市役所で】

【桑名】三重県の桑名市の伊藤徳宇市長は5日の定例記者会見で、「KANNON」(愛知県名古屋市中村区、山下青夏(せな)代表)が開発した「フェアナビ」を市ホームページに試験導入すると発表した。

フェアナビは、年齢や障害などに関係なく、誰もがウェブサイト上の情報にアクセスしやすくする「ウェブアクセシビリティ機能」をウェブサイトに追加できるシステム。自治体ホームページ全体への導入は全国初で、市はフェアナビの機能を呼び出すボタンを市ホームページに配置し、老眼、色弱、てんかんの人などに対応。障害がある人などから意見を得ながら、フェアナビの機能向上も目指し、9月末まで実証実験をする。

同社は、誰もが情報に対し平等にアクセスできる「ウェブのバリアフリー化」、情報格差のない社会を目指し、ウェブアクセシビリティに特化。フェアナビの開発・運営と併せて障害者施設を運営し、利用者の声をフェアナビの開発にフィードバックしているほか、東京大学医学部付属病院の眼科医や権威性の高い専門家が在籍し、視覚的なアクセシビリティ機能の充実に専門的な知見を生かしている。

会見に同席した山下代表は、ITに強いが運動能力の低下の可能性が高い世代が増加傾向にある▽高齢者(60歳以上)の72%が目のハンディを抱える現状▽障害者差別解消法の改正―などについて説明し「高齢者や目に障害がある方が対象で、現在は月間300万人にお届けしているサービスを年間1億人にお届けするのが目標。市場を盛り上げていきたい」と語った。

伊藤市長は「1月のイベントで山下代表がシステムについて発表されたのを契機に協議を開始した。良い施策だと思っているが、継続するかは実証実験で効果を見ていく。実験で検証、ヒアリングを行い、足りない機能を研究していく」と語った。