宝塚古墳埴輪、国宝指定へ 松阪市初、船・家・囲形など計278点 三重

【宝塚一号墳出土埴輪(松阪市提供)】

【松阪】国の文化審議会は15日、三重県松阪市の「宝塚一号墳出土埴輪(はにわ)」を国宝に指定するよう盛山正仁文部科学大臣に答申した。対象は船形1点、囲形3点、家形4点の他、埴輪残欠262点、土器・土製品8点の計278点。県内の国宝は7件目。同市初の国宝となる。

宝塚一号墳は同市宝塚町・光町にあり、5世紀初めに造られた。古墳を保存し、公園に整備するため平成11―15年に発掘し、船形埴輪などが見つかった。

船形埴輪は全長140センチ、円筒器台を含め高さ94センチを測り、9割以上が残る。船内に大刀(たち)、威杖、蓋(きぬがさ)をかたどった別作りの飾り4個が立つ。傍らに入り母屋の家形埴輪が置かれた。

切り妻の家を塀で囲む家・囲形埴輪は3組。2組は家の中に井戸状の湧水施設を、1組は家の内部に水を引き入れる導水施設を、それぞれ模した土製品がある。

同市文化課は、船形埴輪について「きわめて造形性、写実性に優れ、かつ遺存状態が良い」「威儀具を備えた姿は首長の権威を象徴する造形や装飾と考えられ、他に例がない」と指摘し、家・囲形埴輪は「祭祀において使用された施設を表現したものであり、学術的に重要」と評価している。

また重要文化財に同市安楽町の安楽寺が所有する鎌倉時代の「木造阿弥陀如来立像 快慶作」「木造地蔵菩薩立像」の指定と、同市中町の清光寺が所有する平安時代の「木造阿弥陀如来及脇侍坐像」の追加指定を答申した。県内重要文化財は185件、同市内16件となる。

【木造阿弥陀如来立像 快慶作(松阪市提供)】

竹上真人松阪市長の話 松阪市初の国宝決定は大変うれしく、市民の誇りになる。国の宝として保存管理をしっかり行い、活用していきたい。これを機会に子どもたちを含め、多くの市民により深く、松阪の豊かな歴史文化を知ってほしい。市外県外からも多くの人に見に来ていただきたい。