2024年3月3日(日)

▼『ネコにかつお節』は、ネコの近くに好物のかつお節を置く状態だが、ことわざとして導き出される教訓は二つ。一つは、誘惑にかられて間違いをおこしやすいこと。もう一つは、危険で油断ならないこと

▼銀行など金融関係者が金銭関係で絶大な信用を得ているのは経済が金融中心の信用で成り立っているからだが、半面、銀行員の金銭にまつわる犯罪がテレビのサスペンスドラマなどの“意外な盲点”として重要な筋立てとなって登場するのもそのためで、当然ながら信用と表裏の関係にある

▼顧客に信用されて、預貯金通帳の管理を任せられているとか、家を訪ねられた時に預金を渡していたなど、相手が銀行員でなければ絶対しないようなケースだ。男性客の3200万円を着服したとして三十三銀行が被害届を出すという行員の場合は、少し違う

▼勝手知ったる高齢男性宅を業務時間外に訪問し、現金を保管場所から盗み、また通帳とキャッシュカードを使用してATM(現金自動預払機)で出金して元の保管場所に戻すことを繰り返していたという

▼ちょっとした知り合いでもできそうで、空き巣狙いとも、そう変わらない。ドラマの筋立てにはなりそうもないに違いない。ネコにかつお節はかつお節を置いた側にも多少の責任があるとの意味合いも込められていたが、これでは人を見たら泥棒と思えだ

▼三重労働局が、鈴鹿市の社会保険労務士を、会社と共謀して雇用調整助成金など約2800万円不正受給していたと発表した。サムライを意味する資格の「士」たちのこうしたズルが珍しくない世相ではある。