ミツマタで和紙の原材料作り 亀山の団体、丁寧に皮剥がす 三重

【特製蒸し器でミツマタの枝を蒸す参加者ら=亀山市安坂山町の池山公民館で】

【亀山】三重県亀山市野登地区の団体「みつまたを愛する会」(松井隆幸会長)は24日、同市安坂山町の池山公民館で、同町地内の新名神高速道高架下の「天空の森」に生育するミツマタの枝で和紙の原材料作りをした。市観光協会が協力した。

同会員と県内で唯一伊勢和紙を作製している、大豊和紙工業(伊勢市大世古1丁目)の中北喜亮社長(38)と従業員2人のほか、伊賀市柘植町の地元有志らで約7年前から、山林の環境整備として同町内の山林にミツマタを植樹している、町田盛次さん(76)ら5人の計22人が参加した。

この日早朝に採取したミツマタの枝約60キロをステンレス製の特製蒸し器で約1時間蒸した後、金製のへらで丁寧に皮を剥がし、約6キロの白い繊維状の和紙の原材料を作った。この原材料は中北社長が持ち帰り、乾燥させて約2・4キロの和紙に仕上げるという。

【蒸したミツマタの枝の皮剥ぎをする参加者ら=亀山市安坂山町の池山公民館で】

町田さんは「柘植町の山林にミツマタを植樹して現在、約3500本が生育している」とし、「蒸して皮を剥ぐ一連の工程に参加して、原材料作りを学ばせてもらった」と語った。

中北社長は「植物の樹皮が原料の和紙は、コウゾやガンピなどがあり、江戸期からミツマタの樹皮が使われるようになった。ミツマタですいた和紙はきめ細かく光沢のある和紙になる」と話した。

松井会長(71)は「ミツマタの苗木の植樹など生育に関わり19年になる。柘植町の皆さんと初めての交流で、皮剥ぎしながらミツマタ談義で盛り上がった。これを機に交流を深めたい」と述べた。