津市が一般会計1180億8200万円 令和6年度当初予算案、過去最大 三重

【令和6年度当初予算案を発表する前葉市長=津市役所で】

【津】三重県の津市の前葉泰幸市長は14日、総額1180億8200万円の新年度一般会計当初予算案を発表した。前年度比4・7%増となり、平成27年度以降、9年ぶりに過去最大となった。子ども・子育て政策推進に向けた事業費約176億円などを重点的に盛り込み、財源には子ども基金を創設するなどして対応した。前葉市長は「未来の津市へ一歩踏み出す予算」を掲げ、「子ども政策に重点投資することで、活力のある社会を築きたい」と意気込んだ。21日開会の市議会3月定例会に上程する。

歳入は市税収入が1・6%減の406億8千万円にとどまった一方、地方交付税が10%増え210億円を見込む。市債は合併特例債が54%増の18億9千万円となり、全体で26%増の55億4千万円を計上した。合併特例債の適用は来年度までで、残高は22億7400万円。財政調整基金からの繰り入れは8割増の73億円。残高は33億円。

歳出は投資的経費として普通建設事業費が40%増の108億9千万円を計上。学校施設長寿命化改修事業や津駅周辺の道路ネットワーク整備などを着実に進めるための事業費などを盛り込んだ。義務的経費は定年引き上げなどに伴う人件費増などで1・9%増の637億9千万円となった。

予算案には子ども・子育て政策を積極的に盛り込み、前年度比より26億6千万円増の176億2800万円を計上。

このうち新規事業として、子ども医療費助成の所得制限撤廃と中学生までの窓口無料化、県内初となる妊産婦医療費助成の所得制限、窓口無料化などに11億2600万円を計上。妊婦無料歯科健康診査事業395万円も新規で盛り込んだ。いずれも9月から実施する。

学校施設改修特別推進事業として1億2700万円も新規計上した。これは国補助事業の対象外の校舎の雨漏りなどに市独自で対応するもので、来年度は5小中学校で実施する。

これら財源の一部には、市子ども基金、市学校施設整備基金を創設して活用する。基金の財源は全額モーターボート競争事業会計から繰り入れ、それぞれ10億円、3億円を積む。基金設置に向け条例制定し、繰入金は一般会計補正予算案で対応する。

ほかに能登半島地震を受けた災害対策として、耐震化促進事業に24億6500万円計上。内訳は老朽管の更新工事など水道施設の耐震化に23億7200万円、木造住宅の耐震診断や補強工事への補助に9300万円。災害時の受け入れ体制を整備する災害時受援体制整備事業に390万円を新規計上する。

前葉市長は今回の当初予算案について「子ども・子育て政策予算を膨らませ、過去最大となった」と強調。「人口減少が進む中、子どもを産み、育てることを応援する社会にしなければいけない」と述べ、「高齢者福祉は一定の水準に達した。未来に向けた子ども政策に一歩踏み出す」と意欲を示した。

予算が過去最大に積み上がる一方、財源は市税収入が減少。来年度で期限が切れる合併特例債など市債の発行増や地方交付税、財調取り崩しの増加などでまかなった。前葉市長は「積極型予算だが決してゆとりのある財政運営ではない」とし、「持続的に進めるためには一定の財源を持たないといけない。ボートレース収入を含め確保したい」との認識を示した。

このほか主な新規事業は次の通り。

津駅周辺基盤推進調査事業1800万円▽津駅とつながる広域的な道路(3路線)拡幅工事3億1700万円▽デマンド型交通実証実験運行事業630万円▽地域防災情報通信システム機能強化事業1億7100万円