三重経済6期ぶり上方修正 津財務事務所 半導体や自動車の生産が回復

東海財務局津財務事務所は1日、昨年11月から今年1月までの三重県内経済情勢を発表した。半導体や自動車の生産が回復していることなどを踏まえ、総括判断を6期ぶりに上方修正した。

事務所によると、総括判断は令和4年7月から5期連続で「緩やかに持ち直している」としていたが、今期は「持ち直している」と上方修正。令和3年7月以来、10期ぶりの表現となる。

生産活動の判断は昨年4月以来、3期ぶりに上方修正した。「全体ではおおむね横ばい」などとしていた判断を「一部に弱い動きがみられるものの、緩やかに持ち直している」に引き上げた。

停滞していた半導体集積回路(メモリ)の生産が回復。半導体不足の影響を受けていた自動車の生産も持ち直している。一方、液晶パネルや石油化学関連の生産は伸び悩んでいるという。

個人消費は「持ち直している」とし、5期ぶりに上方修正していた前期の判断を維持。「化粧品やバッグの売れ行きが好調」(百貨店)だが、客の節約志向が高まっているとの声もある。

雇用情勢は「改善に向けた動きが続いている」との判断を8期連続で据え置いた。事業者からは「賃金を引き上げて応募が増えた」「即戦力となる人材が見つからない」との声がある。

米倉洋成所長は記者会見で「生産活動が持ち直していることに加え、個人消費で大きなウエートを占める観光が回復していることから、総括判断を上方修正することにした」と述べた。

先行きについては「今後も景気の持ち直しが期待される」としつつ「足元では物価高を受けた倒産も増加している」と指摘。「海外景気の下振れリスクにも注意する必要がある」と述べた。