2024年1月29日(月)

▼大阪観光局が自動車レースの最高峰F1の誘致を表明したことを「報道で知り驚いた」という鈴鹿市の末松則子市長が「まずは万博を成功させて、それからの話」。道理も節操もわきまえぬ相手への精いっぱいの皮肉か

▼能登半島地震の被災状況が深刻さをたどる中で、万博の縮小や延期などの意見がネットなどで大きくなって、大阪府の吉村洋文知事が「万博があるから(復興の)費用が削減されるものではない」「二者択一の関係ではない」など、熱くなって反論している

▼新型コロナウイルスの感染拡大で東京五輪・パラリンピックが一年延期されたし、県のとこわか国体・大会は中止になった。世の流れの中で、二者択一は関係ない話ではない。来春、多くの被災者がまだまだ日常生活が取り戻せない状態として、大阪は万博で盛り上がっていられるか

▼大国のエゴは世界政治でしばしば目撃するが、大県の身勝手も接することは少なくない。万博の跡地利用を想定して大阪府市がF1誘致を検討し断念しているが、府市や関西財界が出資する公益財団法人が名乗りを上げたというのもある種常套手段だ。公益法人の判断と責任でやることで、府市は関与していないというスタンスだろう

▼国、府市、関西財界は万博の赤字前提で追加負担には応じないと口をそろえる。予測されるマイナスイメージをF1誘致ではぐらかそうということか。「地域や市民の理解も重要。簡単に言わないでほしい」と末松市長。市民の気持ちをもてあそび、土足で踏みにじるなということであろう。