火災から文化財守れ 伊勢・神宮徴古館で消防訓練 三重

【建物に向けて放水訓練する隊員ら=伊勢市神田久志本町の神宮徴古館で】

【伊勢】文化財防火デー(26日)を前に、三重県伊勢市神田久志本町の神宮徴古館で25日、市消防本部との合同消防訓練が実施され、消防隊員と神宮職員ら約45人が参加した。

徴古館は、ルネサンス様式の重厚な外観が特徴で、国の登録有形文化財に指定されている。館内には国の重要文化財11点をはじめ、資料や美術工芸品など約1万3千点を収蔵する。

訓練は、館内の宿直室から出火し、逃げ遅れがいると想定。火災を発見した職員は消火器で初期消火にあたり、消防へ通報した。神宮自衛消防隊も出動。ほかの職員は、収蔵する文化財に見立てた箱を館外に運び出したり、来館者役を避難誘導した。消防隊が到着すると、逃げ遅れた人を救出し、自衛消防隊と共に一斉に放水した。

訓練後の講評で市消防本部の辻原宏和予防課長は「管内には国宝、重要文化財が数多くある。貴重な文化財を火災から守るため、協力をお願いしたい」と話した。参加した同館の学芸員中村潔さんは「訓練を機に、改めて防災を心がけたい」と話していた。