基礎訓練、厳しさ実感 記者が三重県警察学校に体験入校

【盾を頭上に構える記者(中央)=津市高茶屋4丁目の県警察学校で】

三重県警察学校(津市高茶屋4丁目)でこのほど、報道関係者を対象とした入校体験会が開かれた。昨年4月に伊勢新聞社に入社した新人の深谷俊進記者(25)も参加し、新人警察官に混じって、警察学校の厳しい訓練を体験した。

警察学校では新人警察官が半年―10カ月、法律や逮捕術など、警察官としての基礎を身につける。現在は昨年4月に入校した18―34歳の24人が在籍し、今月末に卒業を予定している。

この日はまず、決められた論点について意見を出し合う班別討議を実施。警察学校卒業後の交番勤務を想定し、職場での人間関係などについて意見を出し合った。

学生からは「新人警察官は何事にも意欲的に取り組むべき」や「上司や先輩と信頼関係を作ることが必要」などの意見が出た。仕事に少しずつ慣れてきた記者も初心を思い出す討議となった。

この日の昼食はビビンバ丼や春巻など、味、量ともに十分なメニュー。学生たちの多くは素早く食事を済ますと、午後の授業まで、武道場で腕立て伏せなどの自主トレーニングに励んでいた。

午後は警備訓練に参加。まずは重さ約5・5キロのジュラルミン製盾を教官の指示に従って構える訓練。この日は強風で、盾が風にあおられるたびに盾の重さが増して感じ、疲労が蓄積していった。

記者が特につらかったのは、投石などを想定して盾を頭上に構える訓練。腕にすぐ疲労がたまり、教官に盾を軽くたたかれると、支えきれずに盾が頭に付いてしまった。

その後は隊列のまま盾を脇に抱えてグラウンドを駆け足。普段運動を全くしない記者は5周ほどで遅れ始め、周りの学生から励まされながら数周走るも断念。さらに10周以上走る学生たちを見ることしかできなかった。

最後は逮捕術の授業。逮捕術は必要最小限の打撃で相手を制圧することを目的とした警察独自の技術。武術未経験の記者も防具を着て、学生とペアを組んで実践した。

【学生(左)の突きを受ける記者=県警察学校で】

まずは記者が学生の胴に全力で拳を打ち込むが、学生は平然として動かない。一方、記者が学生の「(全力の)3割くらい」という突きを受けると、こらえきれずに後ずさり。学生との力の差を痛感した。

警察学校の厳しい訓練と、学生たちの心と体の強さを肌で感じた入校体験。この日、共に授業を受けた学生らは今月末に警察学校を卒業し、県内の交番で第一線の警察官として勤務を始める。