<はばたけ村田世代・県内大学球児の進路①> 2年後ドラフトに照準 江南怜(皇学館大)

【江南怜】

三重県伊勢市の皇學館大学硬式野球部4年、江南怜投手がこの春、愛知県岡崎市に拠点を置く三菱自動車岡崎硬式野球部に進む。日本選手権は9度、都市対抗野球は13度の出場を誇り、準優勝の実績もある社会人野球の実力チーム。大学2年からプロ入りを目標に掲げて鍛錬してきた右腕は「先輩方にしっかりついていってその中でも自分のパフォーマンスを出し2年後のドラフトに向けてレベルアップしたい」と意気込む。

昨年秋の三重県リーグで10季連続優勝を果たした皇學館大で2年目から先発の柱として活躍してきた。切れのあるストレートとカットボールを初めとする変化球を駆使してリーグ最優秀投手賞を4度受賞。初受賞の2年春は防御率0・00と圧巻の成績を残した。

代名詞のカットボールは大学入学後独学で習得した。名張市の自宅から4年間通学。伊勢市内の球場を借りて行う全体練習の後、地元のジムで夜遅くまで体づくりに励み、津商業高校時代130キロ台だった直球の球速を4年秋150キロにまで伸ばした。

三重学生選抜の一員として出場した2022年の高山市長旗・飛騨市長杯では社会人チームの西濃運輸戦で先発し、三重県の大学史上初の一勝に貢献するなど大舞台に強い。タイブレークなど緊迫する場面にもめっぽう強く、自身も「勝負強さはあると思う」。社会人になっても「難しい場面でしっかりゼロで抑えて、帰ってくる姿を見てもらえたら」と話す。

「ここまで来られると思っていなかった」。高3夏の県大会は初戦敗退。「本気で野球をやるのは高校まで」と考えた時期もあった。高いレベルの野球を目指して意欲的に練習に取り組む大学の先輩や同輩らに刺激を受けて野球への情熱を取り戻した。

中でもチームの主砲として活躍し、昨年10月のプロ野球ドラフト会議で埼玉西武ライオンズから6位指名を受けて皇學館大初のNPB選手となった村田怜音内野手は特別な存在だ。「ずっと追い続ける」同期と再び同じステージに立つべく、これからも腕を磨く。

皇學館大4年の村田怜音内野手の西武入りが決まった。2012年のドラフト会議を経て楽天入りした三重中京大出身の則本昂大投手ら以来となる三重県リーグからの新卒NPB選手の誕生。そのチームメートや県内ライバル校の選手らの中にも卒業後硬式野球を続けるものがいる。さらなる高みを目指してこの春新しい一歩を踏み出す「村田世代」の大学4年生たちを紹介します。