2024年1月6日(土)

▼「裏金問題」が発覚以来、政治改革が叫ばれている。その方法として、政治資金規正法の改正や資金のデジタル化などとともに、「ネット投票」の導入が挙がっている

▼現在、国民の半数ほどしか投票に行かないため、カネと組織力がモノを言い、民主主義が形骸化している。しかし、ネット投票の実現は難しい

▼いま世界で国政レベルの選挙でネット投票を行っている国はエストニア1国しかない。導入されて10年以上、スマホで簡単に投票ができるため、利便性が増して投票率も上がった。しかし、なぜかデメリットばかりが強調されて導入する国はない。本人確認、投票の秘密保持、システムの安全性、通信障害やデータ改ざんなどの問題があるという

▼が、本当の理由は違う。米国も投票率が低いためネット投票導入が言われてきたが、現職議員はみな反対だ。有権者登録、選挙所での投票など面倒で不便にしておくことで、黒人層、低所得者層、若者が投票に行かないからだ

▼エストニアでは導入後、第三党が政権を取るなど政界が激変した。これは現職にとって「不都合な真実」。日本もまた事情は同じである。