2024年1月1日(月)

▼ぴょんぴょん飛び跳ねて足の速いことから活動的で景気がよくなると期待されたうさぎ年が終わり、草木が盛んに成長することから、成功への道筋が見えて「出世」や「権力」の足がかりが整うとされる辰年である

▼コロナ禍が残り、値上げラッシュにあえぐ大方の国民にとってどうだったか。パーティー券での裏金作りや大川原化工機事件など、権力の行き着く先は一足先にやってきて吹き荒れた

▼リクルート事件との類似性が指摘されるが、劣化が休むことなく進んできた気がする。巧妙さや開き直りを伴って―。昨年は、昭和の一時代を代表した音楽バンド、クレージーキャッツの最後の一人、最年長だった犬塚弘が死んだ。年末には小兵ながらひたすら稽古に励んだ大相撲の錣山親方(元関脇寺尾)が60歳の若さで死去

▼「去年今年貫く棒のごときもの」(虚子)だが、人はそこに目印をつけて一喜一憂する。それぞれ時代を画したと思う瞬間はある。辰年は干支では「竜」があてられ、唯一の想像の生物。それだけ人間の思いが反映されている。浦島太郎が行ったのは竜宮城で、好敵手は竜虎。民衆の身近な信仰の中心に竜神がいる

▼水神。地球温暖化が進み、世界で水不足が深刻になる中で、見直さなければならない神である。心機一転して新しい年に踏み出そう。そこは見慣れた光景が続いているようで、実はそこここに険しい荒野が顔を出しているのかもしれない

▼百年に一度の災害が頻繁に襲ってくる中を竜のごとくたけだけしく立ち向かっていかなければならない。