「濠」をテーマに遺物130点 鈴鹿市考古博物館で企画展 三重

【大下遺跡で見つかった日本最古級の木樋=鈴鹿市国分町の市考古博物館で】

【鈴鹿】三重県鈴鹿市国分町の同市考古博物館はこのほど、同館特別展示室で企画展「濠(ほり)をめぐらした弥生のムラ」を開き、弥生時代の「濠」をテーマに、市内12カ所の遺跡の濠で見つかった土器や石器などの出土遺物、約130点を展示した。令和6年1月21日まで。

同市稲生町の大下遺跡で、平成30年度に見つかった弥生時代末から古墳時代初頭の濠は幅約4メートル、深さ約1・5メートルの大きさ。濠の底から木製の樋を使った地下水路が設置されたままの状態で見つかり、年代測定の結果、日本最古級の施設ということが分かった。環濠にたまった水を排水するための施設の発見は全国初。

排水のためだけであれば溝を掘るだけで十分なことから、発見当初は「木樋を使用したのは祭祀(さいし)など特別な目的があったのでは」と考えられていたが、土壌分析の結果、濠の中の水は日常生活から出た汚水であることが判明した。

ヒノキ材を加工した木樋はふた付きで幅17センチ、長さ111センチ、ふたの部分は幅約26センチ。半円形の樋を組み合わせた円筒形の管の内部を水が流れる。同館が保存処理を施した。

そのほか、須賀遺跡の濠から出土し、3年ぶりの展示となる東海地方最大級のつぼや各遺跡の濠の形を比較できる実寸大パネルなども展示してある。

同館では「集落により濠の大きさや形が違うことを知ってもらうとともに、大きさを体感してもらえれば」と話した。