<1年を振り返って>前葉津市政4期目スタート 「自治会問題乗り越えた」 安定運営へ道半ば

【万歳で当選を喜ぶ前葉氏(中央)=津市大門で】

三重県津市の前葉泰幸市長(61)が4月23日の統一地方選後半戦で実施された市長選に当選し、4期目のスタートを切った。共産を除くオール与党体制で臨み、事実上の信任投票となったが、同市といえば前葉氏3期目に自治会問題が勃発し、市政を大いに揺るがした。今年を振り返り、自治会問題を「市政として乗り越えた」と強調する前葉市長。今のところ順調に見えるが、4期目はまだ始まったばかりだ。

選挙戦は自民、立民、公明、国民の4党と連合三重の推薦を取り付け、政党対決の構図を回避。出陣式には一見勝之知事も応援に駆けつけ、無所属新人に約4700票の大差をつけて当選した。

過去2回、連続無投票当選し、そして今回の事実上の信任投票。3期目には自治会問題や津ボートレースに係わる贈収賄事件などが起こり、足元の組織体制やコンプライアンスに脆弱(ぜいじゃく)さが露呈した。しかし、そんな逆風を受けても与野党相乗り、目立った対抗馬も現れず、4選を危なげなく乗り切った。

とはいえ、3期目に自治会問題が起こり、総勢155人の市職員が処分されるなど市政に大激震が走ったのは事実。4期目は「負の遺産」の解消と信頼回復に向け、市政が再スタートを切れるかが史上命令になった。

前葉市長は21日に開かれた今年最後の定例記者会見で、自ら自治会問題に言及。「反省すべきことも多かったが、再び信頼してもらえる津市政を構築できるか、大きなチャレンジだった」と振り返った。

その上で、コンプライアンス強化や公正・公平な市政の確保に向けて設置した内部統制室の成果を強調。昨年度に職員から同室に寄せられた件数は180件で、このうち22件は実際に現場に駆けつけた案件、不当要求行為も4件あったことを示した。

今年度も職員からの相談は多いとし、「まだいろんな問題は起こっているが、職員が内部統制室の見解が必要との認識になっている。これが組織として統制が取れている状態だと思っている」と指摘。同室が組織運営にうまく機能しているとの見方を示した。

負の遺産処理の一方で、市の発展には未来へ目を向けた施策も必須だ。前葉市長は選挙公約に子ども・子育て政策や大門・丸之内地区や駅前など中心市街地活性化、産業振興、地域脱炭素社会の実現などを掲げた。

市長は会見で「保育所での使用済み紙おむつ回収処分の開始などすぐに形にした」と公約を即実行したことを強調。その上で「市民の皆さんに支持いただける市政ができたのではないか」と自身を一定評価した。

一方で、終息の見えない物価高や待機児童の発生など依然課題はあるとし、「安心のある市政をまだまだ実現できていない」との認識も示した。

自治会問題などを「乗り越えた」とするが、好事魔多し。激震を乗り越え、安定的な市政運営を軌道に乗せたと見るにはまだ道のりは長い。