2023年12月19日(火)

▼100人のうち20人強しか支持を示していない内閣が、目立った倒閣運動も起きずに政権を維持しているのは率直に日本の不思議の一つではないか。各報道機関の世論調査の中でこれまで比較的高率に属していた共同通信の全国電話世論調査が22・3%(16、17日実施)で、前回(11月3、5日同)の28・3%を下回って過去最低の内閣支持率更新した

▼「外交も含めた政策の方向性は間違っていないが、今は何をしても裏金疑惑にかき消される」と、自民党支持率も初の20%台に落ちたことで、党幹部がうめいたそうだ。政策の方向性とは、国民の大多数が反対し、ミスが続出するマイナンバーカードの一本化も含むのか

▼まるで贈収賄のオンパレードのようだった東京五輪の“悪夢”覚めやらぬ中での大阪・関西万博開催の経費急騰問題はどうか。旧統一教会がらみの対応も世論は割れ、自民党も議案修正に応じている。政策の方向性が間違っているかどうかは、少なくとも成果が見えないのに断定できるものではあるまい。間違っていないと胸を張ること自体に自民党のおごりの体質がのぞく

▼政治資金パーティーは、リクルート事件後の政治改革の中で唯一、寄付者の明記が例外扱いにされた分野である。そこに元首相派閥が主導したかのように裏金疑惑が集中する。あきれるしかない

▼政務と公務を使い分ける紋切り型の答弁や岸田文雄首相の子息の公邸私用問題、裏金問題の拡大に合わせるような派閥からの離脱…。国民の声に背を向けるかのような姿勢が、国民をいらだたせて世論調査にくっきりと表れてくる。