市町の意見を黒塗り、情報開示で三重県、議員が不服申し立て

【市町の意見を黒塗りにして開示された文書】

三重県が令和17年の県内開催を目指す国民スポーツ大会に関する情報開示請求の結果を不服として、稲森稔尚県議(草の根運動いが、3期、伊賀市選出)は14日、情報公開条例に基づく審査を請求した。県が市町から寄せられた国体への意見を全て開示しなかったため。有識者らでつくる情報公開・個人情報保護審査会が非開示の是非を審議する見通し。また、国体の17年開催に賛否を示していない岡本栄伊賀市長から理解を得たとする記載をしていたことも判明した。

稲森議員が審査を請求したのは、国民スポーツ大会の早期開催に関する県と市町による打ち合わせ記録の開示結果。一見勝之知事の誘致表明を受けて先月30日付で請求し、今月11日付で開示された。

一方、県が開示した情報は、市町長らと国体の早期開催を巡って協議した日付と市町長らの理解を得たかどうかの記載だけ。市町から寄せられた意見は全て非開示とし、黒く塗りつぶしていた。

稲森議員は記者会見で、市町の意見を非開示にした県の対応を「勝手な都合による線引き」と批判。「多額の費用を要する国体を進める判断を与えるに至った情報は、広く県民に共有されるべき」と述べた。

県は非開示の理由について、稲森議員に宛てた文書で「公開を前提とせずに聞き取った市町の意見や意向を公にすれば、市町と同様の調整をする場合に自由な発言が滞る恐れがある」と説明している。

また、稲森議員に開示された資料には、市町長を訪問した日付の隣に「○」の印が付けられている。県によると、この印は国体の17年開催に市町長から理解を得られたことを示しているという。

岡本市長は取材に「○などの印を付けることではないと思う。国体に関する県の説明は理解したが、賛否は伝えていない」と説明。黒塗り部分は「出されて困ることは言っていない。全て開示すべき」と語った。