和解金支払い「可決すべき」 県積算ミス訴訟 21日に採決 三重県議会常任委

三重県議会は14日、総務地域連携交通、環境生活農林水産、教育警察の各常任委員会を開いた。四日市農林事務所発注工事の積算ミスを巡る訴訟で、環境生活農林水産常任委は津地裁の和解勧告を受け入れ、県が鈴鹿市内の建設会社に1950万円を支払うことを定めた議案を全会一致で「可決すべき」とした。21日の本会議で採決される。

職員処分検討も

〈環境生活農林水産=山崎博委員長(8人)〉
農林水産部は公共工事の積算ミスを巡る訴訟で和解する理由について、和解金の金額などを踏まえて「県の主張が考慮され、受け入れることができる内容のため」と説明。職員の処分を検討する可能性も示した。

県によると、積算を誤ったのは、鈴鹿市内で農業用水路のパイプを敷設する工事で、四日市農林事務所が令和2年8月に総合評価方式の一般競争入札を実施。4社が入札し、約1億9700万円で契約した。

一方、入札に参加した別の会社が契約後、県に「積算の誤りがある」と指摘した。県が調べたところ、予定価格を150万円ほど少なく積算したことが判明。本来は、この会社が落札者となることも分かった。

この会社は昨年5月、県を相手取り、本来は取得できたはずの利益として約3430万円の賠償を求める訴訟を津地裁に提起。県は積算ミスを認めつつ、賠償の金額などを巡って争っている。

 

教員不足解消の取り組み報告 三重県教委

〈教育警察=山内道明委員長(8人)〉
県教委は教員不足の解消に向けた取り組みを報告。教員を目指す学生を対象にした研修会を開いていることや、教職に就いていない教員免許取得者の「掘り起こし」を進めていることを明らかにした。

県教委によると、9月1日時点で不足している小中高と特別支援学校の教員は58人で、前年より10人多い。本年度に実施した教員採用試験の受験者は2057人で、10年前の約七割にとどまる。

教員の確保に向け、県教委は現役の教員が大学生らに教職の魅力を語るガイダンスを11月に開き、59人が参加したと説明。高校生を対象にしたガイダンスの開催を予定していることも報告した。

このほか、現在は教職に就いていない教員免許取得者への呼びかけを進めていると説明。教員免許取得者向けの相談会を11月に実施したところ、参加者のうち6人が講師として登録したと報告した。

生成AI、業務短縮など効果 県総務部、来月にもガイドライン

〈総務地域連携交通=喜田健児委員長(8人)〉
総務部は「チャットGPT」をはじめとする「生成AI」の検証結果を報告。「業務時間短縮などの効果があった」とし、活用の注意点などに関するガイドラインを来月にも作成する考えを示した。

県は行政サービスや業務の向上を期待し、7月から11月まで生成AIの検証を実施。若手職員らを中心とした18人がアンケート結果の分析や文章の翻訳、政策の作成などに生成AIを活用した。

検証結果によると、統計の処理に要する時間が従来の半分ほどに縮減されるなど、業務の効率が高まったという。「事業の企画にあたってアイデアを出す際にも新しい視点が得られた」としている。

一方、県は「内容によって(生成AIへの)質問方法を工夫する必要がある」と指摘。生成AIを有効に活用する方法や情報管理などの注意点をまとめた「生成AI活用ガイドライン」を策定する。