野球教室や出前授業、社会貢献活動に注力 社会人野球チームの「ホンダ鈴鹿」 三重

【鈴鹿少年野球教室であいさつするホンダ鈴鹿の長野勇斗主将=2日、鈴鹿市住吉町のホンダドリームスタジアムで】

社会人野球チームの「ホンダ鈴鹿」が今年から社会貢献活動に力を入れている。今月、鈴鹿市少年野球教室を初めて開いたほか、地元鈴鹿市の出前授業に初めて協力した。前身は1971年創設の本田技研鈴鹿硬式野球部で、現在県内唯一の実業団野球チーム。都市対抗野球の優勝経験を持ち、プロ野球にも多くの人材を輩出する名門だ。野球人口の減少が危惧される中、社外や若い世代との接点を積極的に増やし、ファン拡大も目指す。

野球教室は12月2日、鈴鹿市内のホンダドリームスタジアムで、市内学童野球チームに所属する約170人を招いて行われた。ホンダ鈴鹿からは岡野勝俊コーチのほか、選手では、侍ジャパン社会人代表に選出されていた中川拓紀内野手=伊勢市出身=らを除き、長野勇斗主将=松阪市出身=らほぼ全員が出席。秋のプロ野球ドラフト会議で巨人から2位指名された森田駿哉投手=富山県出身=も参加し、教室の後は児童の保護者も含めて人垣ができていた。

出前授業は11月下旬から行われている。初回の11月28日は、鈴鹿市若松中の若松小学校の3年生を対象に行った。野球未経験者も多いため、使用したのは軟球。内容も初心者向けだったが、ストラックアウトゲームで、硬球で最速150キロを誇る森田投手が軽く腕を振っただけで勢い良く番号札を打ち抜くと大きな歓声が起きていた。森田投手は「楽しんでくれれば次につながると思ってプラスな言葉をかけた。野球に興味を持ってもらえたらうれしい」と話した。

【出前授業に参加し、児童の前で投球を披露するホンダ鈴鹿の森田駿哉投手=11月、鈴鹿市内で】

鈴鹿市の出前授業は、2021年三重国体の市内開催競技を知ってもらう目的の「三重とこわか国体出前授業」が前身。20年から続く事業にホンダ鈴鹿が協力するのは今回が初めて。今年度中に市内5つの小・中学校へ出向く予定だ。

今後は野球にとどまらず、献血活動の促進など幅広い地域貢献を目指していく。三重高主将時、県勢59年ぶりの甲子園決勝進出を果たした長野主将らさまざまな経験を持つ選手がおり、その経験を自ら語って児童らのキャリア教育に役立ててもらう「夢先生」事業なども検討している。

活動を通したファン拡大の狙いも。野球教室に参加した児童らを前に「この中からホンダのユニホームを着て一緒にプレーしてくれる選手が出てくることを楽しみにしています」とアピールした長野主将は「子供たちと交流して初心を思い出した。来年の2大大会(都市対抗、日本選手権)出場を絶対目標に、今の時期から厳しい練習をしていきたい」と話した。