度会町で医療MaaS実証実験 買い物や散髪も、中山間地域の1カ所に集約 三重

【オンライン診療でモニター越しに医師と話す住民(右)=度会町で】

【度会郡】中山間地域のため、通院や買い物など生活に不可欠な活動が制限されてしまう三重県度会町の集落で、公共施設などを地域拠点とし、オンライン診療や健康相談が受けられるマルチタスク車両を用いた次世代移動サービス「医療MaaS(マース)」の実証実験が行われている。生活に必要なサービスを一カ所に集め、町の中心部に出かける負担軽減にも取り組んでいる。

遠隔診療サービスの運営などを手がける「MRT」(東京)が、経済産業省の地域新MaaS創出推進事業の採択を受け、大台町や度会町など6町で構成する「三重広域連携スーパーシティ推進協議会」、モビリティサービスを手がける「モネ・テクノロジーズ」(東京)などと連携し、実証実験を行っている。

令和3、4年度にも大台町や度会町などでオンデマンド医療MaaSの実証実験を実施。MRTの小川智也社長(50)によると、今回は医療MaaSの社会実装を視野に入れ、車両を活用して中山間地域に生活に必要なサービスが受けられる地域拠点をつくることで、適切な医療の提供や公共交通機関の負担軽減、地域のにぎわいに新たな効果が生み出せるかを検証し、運用につなげたいという。

一之瀬地区では、かつてJAショップがあった場所にオンライン診療ができる車が訪れ、近くに住む長谷川順子さん(80)ら3人の女性が順番に遠隔での診療を体験した。

長谷川さんが車内に入ると、看護師が血圧や心拍数を測定。「越智ファミリークリニック」(同町大野木)の越智則晶院長は電子聴診器による心音を確認し、モニター越しに長谷川さんの体調について質問したり塩分を取り過ぎないように注意したりしていた。3人は薬剤師からオンラインで服薬指導も受けた。

長谷川さんは「ここなら家から歩いて来られるし、薬も送ってもらえるので便利やわ」とにっこり。越智院長は「オンライン診療でクリニックに来られない人の表情を見て、聴診器をあてるだけでも意味がある」と話した。

【出張ヘアカットのサービスを受ける住民(左)=度会町で】

会場では移動販売車が食品を販売。介護予防体操や地域おこし協力隊によるカフェ、出張ヘアカットも行われ、住民らがさまざまなサービスを楽しんだ。小川郷地区でもオンライン医療相談会や同様のサービスを提供。29日には中川地区で実証実験が行われる。

町みらい安心課の山下喜市課長は「住民の健康寿命を延ばすことが大きな目標。今回の取り組みで地域が元気になってほしい」と期待を寄せた。

【移動販売車で買い物をする住民ら=度会町で】