社長に酒德容疑者を紹介か 三重県水道工事巡る贈収賄 元県職員の小野容疑者

三重県企業庁発注の水道設備工事を巡る贈収賄事件で、受託収賄容疑で逮捕された元県職員の小野弘春容疑者(60)が、同じく受託収賄容疑で逮捕された県職員酒德和也容疑者(57)を贈賄側の社長に紹介したとみられることが19日、捜査関係者への取材で分かった。小野容疑者が社長と十数年前に知り合ったとみられることも分かった。

捜査関係者によると、小野容疑者は数年前、土木工事会社「新陽工業」(四日市市)社長の新井政智容疑者(45)に酒德容疑者を紹介した。それまで2人に面識はなく、小野容疑者が引き合わせた可能性が高い。

酒德容疑者は今回の事件と同じ「総合評価方式」の入札で技術提案などの審査員を務めていた経験がある。入札で高得点を取るための傾向を熟知していたとされる。

県警は、新陽工業が工事を落札するために専門的な指導を受ける必要があると考え、小野容疑者から紹介された酒德容疑者を頼った可能性もあるとみて経緯の詳細を調べている。

県警は小野、酒德両容疑者が関係を深めたのは近年に入ってからとみている。2人は平成7年4月から2年間、同じ津農林水産事務所で勤務したが、当時は親しい間柄ではなかったとみられる。

また、小野容疑者が北勢水道事務所で勤務していた際、工事業者として出入りしていた新井容疑者と知り合ったとみられることも判明。小野容疑者は平成17年4月から通算11年間、同事務所で勤務していた。

事件を巡っては、小野、酒德両容疑者が令和3年7月ごろ、北勢水道事務所が発注する工事の入札で、資料作成に助言するなどの便宜を図る見返りに、新井容疑者から現金を受け取る約束をしたとされる。