井伏、竹内らとの交流つづる 南伊勢町の川口さん、エッセイ集出版 三重

【川口さんの著書「本に遇い人に会う」(右)と、著作に掲載の川口さん近影】

【度会郡】全国各地の漁村の暮らしや歴史を記録してきた三重県南伊勢町五ケ所浦の作家川口祐二さん(91)はこのほど、エッセイ集「本に遇い人に会う」(四六判191ページ、税込み1800円)を自費出版した。国の地域文化功労者表彰を9日に受けた記念に発刊した。

川口さんは全国550カ所余りの漁村を訪ね、約800人から取材した聞き書き集17冊を中心に31冊の著作がある。

本書は本を介しての交流をつづり、最初の「年賀状と井伏鱒二氏からのはがきのこと」から最後の「詩人竹内浩三との縁」まで18の随想を収録。「このことだけは書き残しておきたいと思う幾つかを、四季を追って記述した」(あとがき)という。

愛読してきた句集から好きな俳句を載せ、季節感があふれている。最後は大江匡房の「つねよりもけふの暮るるををしむかな いまいくたびの春と知らねば」を「千載和歌集」から引いている。

問い合わせは川口さん=電話0599(66)0909=へ。