2023年11月14日(火)

▼青山高原の風力発電施設を見学したのは10月31日午後3時ごろ。視界に入る限りの風車はぴくりとも動かなかった。風の向きに敏感に向きを変え、プロペラ自体も少しの風でも回転する仕組みにもかかわらず、である

▼「発電量が大きくなるのは冬季。この時期無風は珍しいが、夏季は低調で、メンテナンスをします」と担当者。蓄電器の開発は進んでおらず、電気を蓄電できないのが悩み、というのは今も昔も変わらない。中部電力グループの太陽光発電施設を見学したのは五、六年前だったか。広大な敷地にびっしりパネルがならんでいたが、曇天で発電量は少なかった。「一定の再生可能エネルギーの施設が義務づけられていますから」という担当者の口ぶりに不満を感じたのは気のせいか

▼再生エネが自然の影響を受けるのは当然だが、温暖化による気候変動はどうか。今年の夏は暑かった。熱中症警戒で冷房需要は増えたが、大手電力が再生エネ業者に一時的な発電停止を求める出力制御が過去最大だった。今後の事業に不安が高まり太陽光の売却依頼が急増したという

▼前県政で再生エネの誘致を呼びかけ、たちまち施設計画を上方修正したのは周知の通り。ミニ開発やゴルフ場と同じ、何度目かの舞いを演じたが、その後どうか。南勢では制限条例をつくる自治体や、パネルに家が囲まれた、気温が上がった、イノシシが出没するようになったなどの苦情があった

▼パネルの下が野生動物の巣になっているという調査もある。重点施策の結果が何をもたらしたか。しっかり調べておくのも行政の使命だろう。