虐待児童の一時保護訓練 三重県警と児相、連携強化

【母親(中央)を説得して児童(人形)を一時保護する児相職員(右)と警察官=津市高茶屋4丁目の県警察学校で】

児童虐待の防止に向けた連携強化を目的に、三重県警と県児童相談センター(同市一身田大古曽)は1日、津市高茶屋4丁目の県警察学校で合同訓練を実施し、虐待が疑われる児童を一時保護する手順を確認した。

合同訓練は平成23年度から始まり、今年で13回目。訓練には警察官や児相職員ら約40人が参加したほか、一見勝之知事や難波正樹県警本部長が見学した。

訓練は、生後7カ月の男児への虐待が疑われる家庭を訪問した児相職員が、面会を一度拒否された状況を想定。

児相職員と警察官が共同で、任意で家を調べる「立ち入り調査」と、裁判所の許可状を得て強制的に家に入る「臨検・捜索」をした。

立ち入り調査では、児相職員と男児の面会を拒む両親を説得し、家に入って男児の安全を確保する手順を確認。臨検・捜索ではドアチェーンを破壊して家に入り、男児を一時保護した。

一見知事は「非常に臨場感のある訓練。繰り返すことで連携が取れ、適切な対応ができるようになる」とした上で、津市で母親から暴行を受けた女児が死亡した事件を踏まえ「警察だけでなく、各自治体や医療機関などとの連携を深めていく必要がある」と述べた。

同センターの中澤和哉所長は「立ち入り調査や臨検捜索は年に何回もあるものではないが、経験と慣れが必要。訓練で職員の経験値の向上や警察との連携強化ができた」と話した。

同センターによると、昨年度の県内における児童虐待の相談対応件数は2408件。統計を取り始めた平成2年度以降、最多になった。