2023年11月2日(木)

▼自衛隊の募集ポスターのキャッチフレーズはなかなか秀逸だ。記憶に残っているのは数年前だが、知れば知るほどやりがいのある仕事―。若い制服の男女が空を見上げる。国防に身を投じてみようという気にさせられる

▼現実はかなりの応募者難で、政府は地方自治体、教育委員会などに名簿の提出を要求したなどとして物議もかもしたことがある。県教委も積極的に協力したなどの説もある。仮にそうだとしたら、バツの悪い思いをしているかもしれない

▼海上自衛隊で昨年、女性自衛官が部隊の男性同僚にセクハラを受けた問題で、防衛省が特別監査を実施している期間に、部隊のナンバー2が、被害女性隊員が拒否しているにもかかわらず男性隊員と対面させ、謝罪を受け入れさせて男性擁護の発言もしたという

▼女性を受け入れる組織ではなかったのではないか。四半世紀前の米国映画『G・I・ジェーン』は志願者の60%が脱落するという海軍特殊部隊に女性が初めて挑む話だ。卑猥な会話は男性はもちろん、女性隊員双方からあったが、同僚を襲うシーンなどなかった。なにより、上司が“お客さん”扱いにしようとする一方、男女がすみ分けできる施設整備、体制を模索する姿勢を示していた

▼セクハラが仕事などへの情熱や実績とは関係なく発生しているのは、先に細田博之元衆院議長が問われたり、高名な大学教授がしばしば部下に告発されるのを見ても分かる。防衛省は部隊ナンバー2や当時のトップ(退職)までさかのぼって処分をするという

▼問題は、彼らの方が断然多数派だろうということである。