「慎重に検討すべき」 県立大設置是非で有識者会議が報告書

【一見知事(手前)に報告書を手渡す田村議長=県庁で】

三重県立大設置の是非を検討する有識者会議(議長=田村秀・長野県立大教授、5人)は17日、県立大の設置は「慎重に検討すべき」とする報告書を県に提出した。報告書を受け取った一見勝之知事は、遅くとも11月には設置の是非を判断する考えを示した。

報告書は、学生1人の県内定着に必要な県の負担が最大で7千万円に上るとした費用対効果への意見として「総じて高いとも言い難い」と指摘。「効果が不透明な大学新設は慎重に検討すべき」などとした。

「県立大をつくる目的が若者の県内定着なら、他の手法も検討すべき」「奨学金の返還支援などの方が費用もかからず、一定の効果が期待できる」などと、県立大設置以外の手法を提案する記述も目立った。

この日、田村議長が県庁で一見知事に報告書を手渡した。田村議長は記者会見で「さまざまな論点で多角的に議論し、県立大以外の選択肢を模索する方が資するのではないかという結論になった」と述べた。

一見知事は「どちらか一方に偏るわけでなく、フラットに議論してもらった。報告書を元に詳細な検討をしたい」と説明。判断の時期について「引っ張る意味はない。早い段階で結論を出したい」と語った。

県立大設置の議論をめぐっては、令和3年度に設けた有識者会議が「設置の必要性は一定ある」との報告書をまとめた。一方、県は「より詳細に検討する必要がある」とし、新たに有識者会議を設置していた。