2023年10月18日(水)

▼一時保護中の中学生に大声で怒鳴るなどの虐待をしたという県北勢児童相談所の男性職員は、県の聞き取りに対し「感情的になって(当該中学生に)怖い思いをさせてしまい、申し訳ない」と話しているという。同じような行為をした教職員や福祉施設の職員と変わるところがない。これが、子どもにとって最後のよりどころとされる児相の職員の言葉かと、あぜんとさせられる

▼廊下で騒ぐ中学生2人を居室に導く過程で、1人に腕をつかまれたとして「何つかんどるんや」と怒鳴り、別の1人にも大声で「黙れ。じゃますんなよ」。その際、職員と生徒の頭が2回当たったという。子どもならずとも怖くなる

▼「個人が特定される」と、県は職員の年齢や役職を明らかにしないという。思えば私たちは、そういう県の姿勢で、職員の資質を見誤ってきたのではないか。11年前に幼・児童が死傷した3件の重篤事件で、検証委員会はいずれも職員のスキル向上を課題にあげた。お粗末極まると読み取れなくはなかったが、厳しい職場へたまたま人事で異動してきた職員への同情はあった。職場の会報はそうした悩みもつづられていた

▼実は全体の奉仕者である公務員としても問題ありということだったか。「保育園落ちた」のネット投稿で、国は手段を選ばず保育園の数を増やした。結果、急速に質が落ち、いじめ、虐待など、現在の問題は多くがそのことが原因とされる

▼「子どもの安全・安心を守る施設でこのような事案が発生したことをおわびする」(子ども・福祉部)と言って済ますには、あまりに重い気がする。