「まる見えリポート」三重で日本パラ陸上選手権 テーマは「伊勢からパリへ」 国内最終選考兼ね盛況予想、経験をとこわか大会に

【三重県では初となる、日本パラ陸上選手権の開催発表会見に臨んだ関係団体や県ゆかりのパラリンピアンら(三重パラ陸上競技協会提供)】

三重パラ陸上競技協会(杉本熊野会長)などは5日、県庁で会見を行って第35回日本パラ陸上競技選手権大会が来年6月に伊勢市宇治館町のスポーツの杜伊勢陸上競技場で開かれると発表した。パラ陸上の国内最高峰の大会で県内では初の開催。来年夏にフランスで開かれるパリ・パラリンピックの国内最終選考会も兼ね、例年以上の盛況が予想される。大会の概要や地元開催の意義を調べた。

開催期日は6月8、9の2日間で男子14種目、女子13種目を予定している。三重パラ陸協の佐野恒祐理事長は「県民の皆様に競技場に足を運んでもらいパラスポーツの魅力に感動してもらうことと同時に障がいのある方のスポーツ活動への理解と発展につながってほしい」としている。

大会テーマは「伊勢からパリへ ありがとう、パラ陸上」。250から300人の選手の出場を見込まれるが、来年の大会はパラリンピックの最終選考会を兼ねるため例年より多い参加が予想されているという。

県内からも有望選手が多く出場し、地元開催の大会を盛り上げそうだ。県では昨年度から国際・全国大会で活躍するパラアスリートの育成・強化を目的にした「パラリンピック等強化指定事業」に取り組み、三重パラ陸協の登録選手8人中5人が支援を受けている。

強化指定選手の一人で、T63(片足大腿義足)クラスの走り幅跳びと100メートルの2種目で今年初めて日本代表入りし、今月22日から開催の杭州アジアパラ大会にも出場する鈴鹿市出身の稲垣克明選手も「伊勢からパラを目指したい」と話す。

今後実行委員会を立ち上げて選手の受け入れやボランティアら関係者との調整に当たる。オリジナル冊子やグッズ作成などでさらなる盛り上げを図るが、佐野理事長は「障がい者スポーツ関係者、団体の横のつながりを強化して成立させたい」とする。

大会開催の発表会見には三重陸上競技協会の関係者も同席した。昨年12月に行われた三重パラ陸協の設立総会では三重陸協の松澤二一専務理事(当時)が顧問に就任し、会見でも両団体の結びつきの強さをうかがわせた。

日本パラでは審判業務などを担う。今年6月には隣県の岐阜市で開かれた「2023ジャパンパラ陸上競技大会」を役員が視察した。三重陸協の和田靖専務理事は「(選手に対して)どこまで補助をして良いのかなどの判断が難しかった。今後ルールブックなど作って情報を共有したい」と話す。

関係者が実現を待ち望む、全国障害者スポーツ大会の地元開催に向けた機運の高まりも追い風にしたい。三重陸協の和田専務理事は「(コロナ禍で中止になった)三重とこわか国体・とこわか大会の早期開催を目指す動きもある。来たるべき時期に備えて大きな大会を経験することが今後に役立つ」と開催の意義を強調している。