志摩やパリの風景描く 玉城町で画家・河本さんの遺作展 三重

【河本さんの遺作を紹介する妻の悦子さん=玉城町宮古のギャラリーボナール伊勢玉城館で】

【度会郡】昨年7月に91歳で亡くなった三重県志摩市志摩町片田の画家、河本正雄さんの遺作展が、玉城町宮古のギャラリーボナール伊勢玉城館で開かれている。観覧無料、10日まで。

河本さんは兵庫県出身。武蔵野美術学校(現・武蔵野美術大学)で本格的に油彩を学んだ後、雑誌や新聞の挿絵を描いていたが、フランスの美術学校に留学し、世界最古の歴史と伝統を持つ国際公募展「ル・サロン」で銅賞を受賞するなど活躍。帰国後は東京や横浜で画家活動の傍ら後進の指導に取り組み、平成18年に妻の悦子さんと共に自然豊かな志摩市に移住した。

悦子さんによると河本さんは生前、パリ近郊の街角や雪景色などを好んで描いていたが、移住後は行く先々にスケッチブックとボールペンを持参して海辺の風景や漁港を描き続け、令和2年には闘病生活の中で卒寿記念展を開いた。

遺作展には、50―60代の時に制作した油彩画を中心に49点を展示。さまざまなパリの風景を描いた作品や、優しい色合いで仕上げた志摩の夕景、神秘的な雰囲気を表現した薪能などが並び、訪れた人が河本さんをしのびながら作品を鑑賞している。

悦子さんは「最後の作品展なので皆さんに見てもらえていい供養になった」と話していた。