「Jクレジット」活用促進 名張の森林でモデル事業 三重県議会一般質問

【(右から)西場信行議員、廣耕太郎議員、松浦慶子議員、日沖正信議員】

三重県議会9月定例月会議は2日、西場信行(自民党、11期、多気郡選出)、廣耕太郎(新政みえ、3期、伊勢市・鳥羽市)、松浦慶子(自民党、1期、多気郡)、日沖正信(新政みえ、7期、いなべ市・員弁郡)の4議員が一般質問した。農林水産部は二酸化炭素の吸収量を売買できる「J―クレジット制度」の活用を促進するモデル事業を名張市内の森林で進めていることを明らかにした。二酸化炭素削減量の認証を受けるノウハウを市町などと共有するほか、販売の手法も検討する。日沖議員への答弁。

宮川流量回復成果は

西場 信行議員(自民党)

県が宮川の流量回復に向けて設置した検討会議について「設置から3年が経過しても、成果が見えてこない」などと指摘。一見知事は「調査に時間がかかるものもある」「地元と議論する」などと述べ、理解を求めた。

【斎宮跡】

西場議員 文化財保護法の改正に伴い、明和町が斎宮跡の保存活用計画の策定を進めている。計画の策定により、いつきの宮歴史体験館などの活用が大きく進むことを期待する。保存活用計画の策定に向けた県教委の協力は。

福永教育長 町は1月から本格的に計画の策定に着手した。県の担当者も参画している。137ヘクタールの広大な面積で史跡内に2千人が生活する全国的にも珍しい史跡。計画が多くの方々の声を反映したものとなるよう、指導や助言をしている。

【宮川】

西場議員 宮川の流量回復に向けた検討会議は設置から3年がたっても成果が見えない。流量回復に県庁全体で取り組む調整会議も年に1―2回で時間も10分程度。形式的ではないか。毎秒2トンの流量に向け、質のある会議にしてほしい。

知事 いろんな議論や経緯があった。地元に住んでいる方々の思いもある。熱心に質問してもらっているのも地元の声を受けてのことだと思う。地元ときちんと議論させてもらう。会議の仕組みはできている。調査に時間がかかるものもあろうかと思う。

副反応での死者数は

廣 耕太郎議員(新政みえ)

新型コロナウイルスのワクチン接種による副反応で死亡した人数を尋ねた。県当局は健康被害救済制度に基づき、先月末までに県内で29件の死亡一時金などが請求されたことを明らかにした。

【コロナ】

廣議員 ワイドショーなどでは新型コロナの怖さばかりが強調されている。PCR検査で陽性なら、脳卒中や交通事故でもコロナで亡くなったとカウントされる。諸外国と日本、そして県の死者数について聞かせてほしい。

松浦医療保健部理事 新型コロナによる人口10万人あたりの死者数は5月7日までの累計で59人、県では60人。米国は333人、英国は337人で日本の5倍以上。医療従事者の努力や県民の対策により、欧米と比べて少なかったと考える。

【ワクチン】

廣議員 新型コロナの後遺症もあると思うが、ワクチン接種による後遺症もある。ワクチンは効果が伝えられるばかりで、リスクの情報が少ない気がする。県内ではワクチン接種によってどれぐらいの人が亡くなったのか。

松浦理事 県内では先月末までに、健康被害救済制度で29件の死亡一時金や葬祭に関する申請があった。うち4件が認定され、25件は審査中。ワクチンの副反応によって健康被害を受けた県民が速やかに手続きできるよう、制度の周知を図る。

世界遺産追加登録は

松浦 慶子議員(自民党)

熊野古道伊勢路(世界遺産)について、世界遺産に登録されていない部分の追加登録に向けた取り組みを尋ねた。県教委は登録の前提となる国史跡への指定に向け、学術報告書をまとめる考えを示した。

【追加登録】

松浦議員 世界遺産に登録されている熊野古道伊勢路は県南部の活性化や観光の発展に欠かせない。未登録となっている部分の追加登録に向けた現状は。和歌山県との連携も強化するとのことだが、どう取り組むのか。

福永和伸教育長 まずは国史跡の指定が必要。学術調査で文化財の価値を明らかにする必要がある。本年度からの四年間で学術報告書をまとめ、伊勢市から紀宝町にわたる全ての資産を評価する。市町や奈良県、和歌山県、文化庁と緊密に連携する。

【安全教育】

松浦議員 文部科学省は「生命(いのち)の安全教育」を展開している。子どもを性暴力から守る条例を制定する一見知事の表明には感激した。加害者や被害者、傍観者にもならないための安全教育をどう進めていくのか。

福永教育長 命の尊さを学んで相手を尊重する態度を身につけることができるよう、本年度から全ての学校で生命の安全教育に取り組むことになった。生徒指導の担当教員が集まる会議で国の方針や安全教育の目的などを説明し、教材や手引きを紹介している。

特殊詐欺摘発件数は

日沖 正信議員(新政みえ)

県内で被害が相次いでいる特殊詐欺について「犯人は検挙され、処罰されるべき」と訴え、摘発の件数などを尋ねた。県警は今年に入り、30件の被害に関して14人を検挙したことを明らかにした。

【特殊詐欺】

日沖議員 特殊詐欺の被害が増えている。難波県警本部長は先月26日の一般質問で「極めて深刻」と強調した。被害を防ぐ取り組みに努めてほしい。増えている現状を踏まえた対策は。犯人は検挙され、処罰されるべき。

難波県警本部長 犯人は極めて巧妙なマニュアルで練度を上げるが、被害者は「自分は遭わない」と思い込んでいる。簡潔明瞭な注意喚起で県民の警戒心を高める。今年は既に30件、14人を検挙した。指示役への突き上げなどで検挙や摘発の徹底に努める。

【森林】

日沖議員 適正な管理が行われない森林が増えている中で、二酸化炭素の吸収量を売買できる「Jクレジット制度」の活用が進み、県でも新たな取り組みが始まった。制度を活用した森林整備の促進に向けた県の取り組みは。

中野農林水産部長 企業などからJクレジット制度の相談が増えている。名張市内の県行造林でクレジットを取得する取り組みを進めている。効率的な認証取得のノウハウを得て市町などと共有する。効果的にクレジットを販売する手法も構築したい。