津高生らに「原子の世界」解説 幾原東大院工学系研究科教授が母校で講演

【生徒にナノテクノロジーの可能性を話す幾原氏(左奥)=津市新町の県立津高で】

【津】三重県津市新町の県立津高校同窓会(飯田俊司会長)は29日、同校で卒業生による講演会「有造塾」を開催した。東京大学大学院工学系研究科教授の幾原雄一氏(64)が「原子の世界とナノテクノロジー」と題して話し、全校生約950人と同窓生約30人が聴講した。

幾原氏はいずれも炭素原子からできている鉛筆の芯、ダイヤモンド、カーボンナノチューブ―を例に「結晶構造の違いにより物質の特性が全く変わる。結晶構造と結合を利用して新しいものを生み出す根源にあるのがナノテクノロジー」と解説した。

最先端の電子顕微鏡について「酸素原子や水素原子を見られるようになっている」とし、自身の研究グループが世界で初めてリチウムイオン電池の構造を捉えた画像を紹介。「量子力学の観点に基づく計算により材料の特性を予測でき物づくりへと発展する」と述べた。

3年の大河内康弘さん(17)は「ナノテクノロジーで国会図書館の情報を角砂糖1個に収容する時代が来ると聞き楽しみに感じた。すごい先生が津高出身で誇りに思う」と感想を述べた。

「有造塾」は平成23年度から開き今回が10回目。江戸時代の津藩藩校有造館の校舎を同校前身の津中学が引き継いだことにちなむ。