木目とノミ目生かした漆器 伊勢の浄明寺で野嶋さん作品展

【温かみある漆器の作品展を開いた野嶋さん=伊勢市倭町の浄明寺で】

【伊勢】三重県伊勢市植山町の木漆工芸作家野嶋峰男さん(75)の作品展「木目とノミ目」が、同市倭町の浄明寺で開かれている。木目の美しさや、ノミの彫り目を生かしたぬくもりある漆器が来場者を楽しませている。10月1日まで。

ケヤキやトチの木材でつくった大小の皿や小鉢などの生活雑器約200点を展示し、販売もしている。ケヤキの木目の美しさを生かす「拭き漆」の技法で仕上げた角皿、顔料や染料を混ぜた漆を塗布して仕上げたオレンジやキナリ色、藍色といったカラフルな小皿なども目をひく。

野嶋さんは、環境に優しい木の食器や家具をつくりたいと、昭和50年ごろ、市内に工房を構えた。以来、半世紀にわたり創作を続け、県展や東海伝統工芸展などでも受賞を重ねてきた。

「木の声に耳を傾けながら創作している」と野嶋さん。「手作りのものは生活に潤いを与え、修繕が可能で、いつまでも使い続けることができる。日常生活に取り入れてほしい」と話していた。