小津作品と共に音楽も堪能 津で「彼岸花映画祭」に900人

【曲間のおしゃべりで会場を沸かせる兼重名誉教授(左)と吉鶴氏=津市栗真町屋町の三重大学三翠ホールで】

【津】三重県ゆかりの映画監督、小津安二郎を顕彰する「第9回彼岸花映画祭in津」(同祭実行委員会主催、伊勢新聞社など後援)が23日、津市栗真町屋町の三重大学三翠ホールであった。音楽演奏や映画「東京物語」(1953年松竹)の上映があり、約900人(主催者発表)が来場した。

平成27年、津観音境内に「小津安二郎記念碑」を建立したのを機に有志約30人で実行委員会を設立。その後毎年映画祭を開き地域文化の振興を図っている。

演奏▽映画解説▽上映―の3部構成で開催した。演奏では同大名誉教授の兼重直文氏がピアノ、同大在学時に兼重氏に師事した新日本フィルハーモニー交響楽団の吉鶴洋一氏がビオラで師弟共演。軽妙なおしゃべりで会場を沸かせながら小津映画の主題曲など全10曲を披露した。

上映に先立ち同実行委事務局長の岩間知之氏が「東京物語」について「効果音にも隠れた意味がある。音と音楽と映像が見事につながり余韻で包む」などと解説。来場者はデジタル修復版の美しい画像を大画面で堪能した。

ロビーには今年県文化大賞を受賞した津市の看板職人、紀平昌伸さんが手描きした小津映画の看板9点が並び、来場者が盛んに写真を撮っていた。

【紀平昌伸さんが描いた小津作品の映画看板=津市栗真町屋町の三重大学三翠ホールロビーで】

伊勢市の林ちづるさん(60)は「小津監督は知っているが映画を見るのは初めて。音楽と一緒に楽しめるイベントはすてきなので機会があったらまた来たい」と感想を述べた。