線状降水帯の発生想定、県が図上訓練 専用室を初めて使用

【被害状況を確認する図上訓練の参加者ら=県庁で】

三重県は8日、発達した雨雲が停滞し、集中豪雨をもたらす「線状降水帯」の発生を想定した図上訓練を県庁で実施した。本庁や関係機関から436人が参加し、初動対応などの手順を実践で確認した。

県によると、線状降水帯の発生を想定した図上訓練は初めて。同日午前0時に県全域で発生し、松阪市や尾鷲市などの4市町で孤立地域が発生したほか、多数の河川が氾濫したと想定した。

初動対応の迅速化を目的に、県庁5階で今月から運用している「オペレーションルーム」を初めて活用。職員らは電子黒板を使って情報を共有したり、孤立地域に防災ヘリで物資を運ぶ手順を確認したりした。

一見勝之知事も災害対策本部長として参加。同じく今月から運用している「シチュエーションルーム」で対応を検討したほか、自衛隊への災害派遣要請を決める手順を確認。県民への呼びかけにも臨んだ。

三重大の川口淳准教授は講評で「予想が難しい線状降水帯を想定したことに価値がある」と評価。オペレーションルームでの対応については「同じ場にいない職員との危機感の共有が薄かった」と指摘した。