2023年9月6日(水)

▼「公教育の信頼を大きく損なった」と陳謝した県教委の福永和伸教育長の誠実さを疑うわけではないが、「浜の真砂は尽きるとも世に盗人の種は尽きまじ」の句を連想する向きも多いのではないか。教育長の記者会見で教職員の不祥事が公表されるのは恒例の感

▼“恒例”のセクハラ(性的嫌がらせ)と交通事故はなかったが、公文書偽造と出張費の不正受給だという。コンプライアンス(順法精神)が向上しているのか低下しているのか。県教委の50歳の女性班長は自身の民事訴訟で、争点日は勤務していたという県を作成者とする偽の「出勤表」5件を裁判所に提出した

▼「原告から逃れたい思いしか至らなかった」という県教委の聞き取りへの釈明が本当なら人として憐憫の情なきにしもあらずだが、研修企画・支援課班長の立場として致命的。懲戒免職処分

▼60歳の男性教諭は運動部顧問として対外試合引率した際、出張費を水増し請求し、教職員でないトレーナーの宿泊費などに充てた。減給処分。いずれも前例のある違反で、公文書偽造では17、8年前、臨時職員が県の定型文書システムから契約書を引き出し、公印を押して対外契約を成立させたのが有名

▼出張費の水増し請求では、校長3人が車に同乗して、それぞれ出張費を請求したのが記憶に残る。公印の無断使用はしばしばあり、厳格な管理が指示されたが、今回はどうだったか。トレーナーの宿泊費充当などはかつてのカラ出張の用途でもあったが、部活動の地域移管ルールの停滞をうかがわせる

▼不祥事は組織のほころびをも浮き彫りにする。