「特例条例」を提出へ 三重県、県議会執行部説明会で報告

【提出予定議案の報告を受ける議員ら=県議会議事堂で】

三重県が提出中の文化振興条例案が関係法令に抵触する可能性がある問題で、県は4日の県議会執行部説明会で、文化に関する職務権限を県教委から知事に移管する「特例条例」を19日の県議会本会議に提出すると報告した。文化庁から特例条例の制定を促す回答があったことも明らかにした。

更屋英洋総務部長は、文化庁からの回答を踏まえて「(県の)手続きが不十分だった」と説明。知事に文化の職務権限があるとの認識を改め、あくまで環境生活部が地方自治法に基づいて県教委から「事務委任」を受けた状態にとどまるとの認識を示した。

これに対し、三谷哲央議員(新政みえ、8期、桑名市・桑名郡選出)は知事に職務権限があることを前提としてきた従来の対応に違法性がないのかを尋ねた。更屋部長は事務委任の状態にあることを根拠に「違法性はない」との認識を示した。

問題をめぐっては、県が6月1日の本会議で上程した文化振興条例案が「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」(地教行法)に抵触する可能性が浮上。同法は県教委に文化の職務権限を与えているが、条例案は知事に職務権限があると明記した。

一方、同法は県教委への意向聴取を経て特例条例を制定すれば知事に権限を移管できるとの規定を設けているが、県は環境生活部が文化の事務を担う部制条例があることを根拠に「従来から知事に権限ある」と主張。特例条例を提出しなかった。

これに対し、県議会の環境生活農林水産常任委員会は「法令上の整理に明確さを欠く」とし、条例案を事実上の「継続審査」とすることを決定。県議会は6月定例月会議中の採決を見送った。県は問題への認識を回答するよう文化庁に依頼していた。