北勢線生かす、まちづくりを 市民ら活発議論 いなべで勉強会

【活発に意見を交わす参加者たち=いなべ市北勢町阿下喜の阿下喜会館で】

【いなべ】三重県いなべ市の市民グループ「北勢線とまち育みを考える会(ASITA)」(安藤たみよ会長)が、地域の公共交通とまちづくりを考える勉強会を続けている。7回目の勉強会がこのほど、同市北勢町阿下喜の阿下喜会館で開かれた。

桑名市といなべ市間を走る三岐鉄道北勢線は、全国に3つしかない、線路幅が狭いナローゲージ鉄道。23年前には、廃線の危機にさらされた。

勉強会は、少子高齢化が進む中、20年後を見据えた北勢線の将来とまちづくりを考えていこうと、昨年12月から始めた。ASITAの会員で、近畿日本鉄道元社員の原文人さん(61)が講師を務めている。過去6回は講義中心で、地域の公共交通に関する基礎知識を学んだ。これから4回にわたり、毎回異なるテーマで参加者同士意見を交わす。

その初回となった8月30日夜、市民と市議計約20人が参加した。あなたが思い描く2030年の市の姿と、阿下喜の町の未来像、地域を支える交通をテーマに活発な議論を交わした。

「いなべは製造業が盛ん。働く世代に住んでもらえるよう市内で余暇が楽しめる場所ができるといい」「鉄道と福祉バスとの接続が悪い。改善できないか」などの声が上がった。

市は都市部からの移住者が増え、新しい店もでき変わりつつある。阿下喜に住んで40年になる女性は、市の情報がたびたびテレビで取り上げられ、住んでいることが自慢できるようになったという。「マスコミとSNS(交流サイト)の力は大きい。さまざまな分野で活躍する影響力のある人に、市のことをもっと発信してもらったら」と意見を述べた。

10年前に他県から移住してきた女性は、いなべには美しい自然があり、北勢線の車窓から見る景色は魅力的で「いなべの観光の目玉の一つとして、活用しない手はない」と発言。さらに「列車の中でアートや音楽、食のイベントを開いたら面白い」「自虐的な内容で北勢線のことをSNSで発信したら、若い人の目を引くと思う」など具体的な提案もしていた。

安藤会長(61)は「多くの人が、北勢線は必要だと思っていることが分かった。みんなでアイデアを出し合って、鉄道を生かしたまちづくりをこれから考えていきたい」と話した。

次回は10月4日夜、北勢線の改善すべき点、大切に守っていく点などについて話し合う。鉄道やまちづくりに関心があれば誰でも参加できる。