定員100人で応募5人 三重県の関西本線利用促進事業、交通系ICカード無料配布

JR関西線の利用促進を目的に交通系ICカードを無料で配布する三重県の事業を巡り、申し込み期限内の応募者が5人にとどまったことが25日、県への取材で分かった。「カードの利用条件に課題があった」とし、条件を見直して募集の期間を延長した。

県によると、事業は存続が危ぶまれる関西線の利用者を増やすための施策に生かそうと、初めて実施。1万円分をチャージした「ICOCA」をモニターに配り、関西線を利用した感想を聞き取ることを予定している。

事業費は300万円。関西線の亀山―島ケ原駅間を通勤で利用できるが、現在は利用していない人を対象に先月21日から今月18日まで募集した。百人の定員を設けたが、応募したのは5人だった。

沿線の企業は県の聞き取りに対し、9月末までの利用が条件だったことに「期間が短く、全額を使い切れない」と指摘。駅からの移動手段がないことなどから「従業員に勧めにくい」との声もあった。

交通政策課は募集開始当初、少なくとも70人ほどから応募があると想定していた。「さまざまな立場の人から感想を聞くには5人では少ない」とし、21日から再びモニターを募集している。

再募集に当たって利用の条件を変更。カードの利用期間を12月末までに延長したほか、チャージ金額を5千円にしたコースも追加した。当初の募集に応じた五人の利用期間も12月末まで延長する。

交通政策課は「関係団体などを通じて応募を呼びかけたが、応募の人数を考えると周知が不足していたかもしれない」と説明。「定員を上回る応募をしてもらえるよう、周知に努める」としている。

再募集は11月30日まで。勤務先の企業を通じて専用のウェブサイトから応募する。応募が100人に達した時点で募集を締め切る。問い合わせは交通政策課=電話059(224)2622=へ。