被災者の気持ちを疑似体験 伊勢で災害ボランティア入門講座 三重

【被災者の気持ちを疑似体験するゲームで意見交換する参加者ら=伊勢市楠部町の市防災センターで】

【伊勢】被災地や被災者の生活再建を支援する災害ボランティアの知識や心構えなどを学ぶ「災害ボランティア入門講座」が25日、三重県伊勢市の市防災センターで開かれた。

市と社会福祉協議会でつくる市災害ボランティアセンターが企画。防災啓発や防災ボランティアの育成に取り組むNPO法人「みえ防災市民会議」議長の山本康史さん(50)が講師を務め、市民や地元企業関係者ら16人が参加した。

参加者らはグループに分かれ、被災者の気持ちを疑似体験する同NPO独自のゲーム「SaTa―Sen(サタセン)」を体験。一人一人が、一番大事な人、もの、ことを紙に書き出し、それを災害で失った状況を想定して意見交換した。

参加した会社員加藤有さん(51)は「被災とは物質的な損失の認識が強く、精神的な喪失を考えていなかった。元に戻らないものがある。『被災者』『復興』という言葉を軽々しく使ってはいけないと思った」と話していた。

続いて山本さんは、災害ボランティアの基礎知識や心構え、活動などについて、実体験を踏まえて講義。「災害は不公平が前提で、被害に遭った人も免れた人も心を壊してしまう。一人一人状況や苦しみは違い、違う支援が必要になる。事実を受けとめ、消化し、乗り越えられると信じてサポートすることが大切」と語った。