2023年8月23日(水)

▼東京電力福島第1原子力発電所の爆発事故から2年後だったか、報道機関に現場が公開され、参加した。共同通信加盟者論説委員会の一員としてだが、敷地内をバスで巡るだけだから、破壊のすさまじさを実感できたとは言えないが、異様だったのは空き地に次々建設されていく汚染水を保管するタンクだった

▼湧き出る地下水などが汚染されてタンクはいつ果てるともなく増えていき「やがて施設以外はタンクでいっばいになる。その後どうなるか」という東電側の不安そうな顔を思い出す

▼それから10年を経て、今も汚染水は1日90トンずつ増え続け、タンクは1000基、汚染水は6月末で134万トンという。政府は処理水の海洋放出を早ければ24日にも始めると決めた。岸田文雄首相は「現時点で準備できる万全の安全確保、風評対策を講じることを確認し、東京電力に速やかに放出開始にむけた準備を進めるよう求める」

▼除去できないトリチウムを含む水は濃度を基準値以下に薄めて海に放出することが国際的に認められている。政府は国の安全基準の40分の1未満に薄めるとし、首相は全国漁業協同組合連合会(全漁連)などとの会合で、廃炉の保管場所など、廃炉作業を進めていく上でも海洋放出は不可欠と理解を求めた

▼が、具体的に核燃料デブリ取り出しなどに進展があったとは聞かない。廃炉手順に見通しはたっていないということだろう。やはりタンクの設置場所に限界が見えていることが海洋放出を急ぐ第1なのではないか。現地視察での東電側職員の不安な顔を思い浮かべながら、そう思う。