2023年8月10日(木)

▼知事に遅れること3日。鈴鹿市の末松則子市長も新型コロナウイルスに感染した。第8波が急上昇し始めたころ、一見勝之知事は7波の終息から一定期間が過ぎ、県民に「緩み」が出始めていると分析した。5類移行後3カ月。風化するのはおよそこの頃合いだと、相次ぐ首長の感染が教えてくれているのかもしれない

▼県の8日の発表によると、先週の感染者は5類移行後初めて前週比で減少した。1医療機関当たり平均17・56人で、前週比0・95倍というのだが、1日当たり新規感染者「1000人超」という推計とともにピンとはこない。実態が伝わってこないということである

▼唯一、実感が伴うのは病床使用率か。重軽症別は分からないが、37・8%で5類移行後初の2週連続最高値更新。知事が感染1週間前に警戒を呼びかけた40%超えが確実になった。現在の確保病床数452床を588床に増やさなければならない

▼全体の病院数は諸外国と比較してもまずまずの中で、民間依存が高いのが日本の特徴。だから行政の増床要請も、少ない公的病院に求めることになる。もともと確保病床が多い上に、さらに増えることになり、当然ながら患者も集中することになる

▼高度医療や救急医療の中核を担う病院と重なる。結果、特定の病院だけがフル回転となり、過剰負担で、医療スタッフの質の低下やストレスを招き、離職者を増やす。県だけでなく、全国で見られた医療体制の悪循環だ。どう断ち切るか

▼幸か不幸か。向き合わざるを得なくなった立場で真剣に考えてみるのに3カ月は遅すぎる期間ではない。