「特例条例」を提出へ 文化振興条例案の法抵触で三重県

三重県の文化振興条例案が関係法に抵触する可能性がある問題で、県が文化振興の職務権限を県教委から知事に移管する「特例条例」を提出する方向で調整を進めていることが2日、関係者への取材で分かった。9月定例月会議中にも提出し、採決が先送りとなっている文化振興条例案と共に成立させたい考え。

文化振興条例案が抵触する可能性が浮上しているのは「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」(地教行法)。条例案は文化振興の職務権限が知事にあると定めたが、同法は県教委に職務権限を与えている。

県議会の環境生活農林水産常任委員会は6月定例月会議の審査で、条例案が同法に抵触する可能性を排除できないことを踏まえて事実上の「継続審査」とすることを決定。同定例月会議中の採決を見送った。

関係者によると、県当局は常任委の判断を受けて条例案への対応を検討。議会の承認を得るには、同法が職務権限を知事に移管する場合の対応として義務付ける特例条例を提出する必要があると判断したという。

また、県は同法と条例案の整合性に関する見解を文部科学省に問い合わせているが、今のところ返答はない。文科省からの返答を待ち続けることで、条例案の成立が遅れることを懸念したとみられる。

一方、仮に文科省が「条例案に違法性はない」と返答すれば、県が文科省の見解を議会に伝えて特例条例を提出しない選択肢もあるが、関係者は「文科省から明確な返答を得るのは難しいだろう」と観測する。

文化振興条例案は、県が6月1日付で提出。文化振興の基本理念や知事の責務を定めた。県は環境生活部が文化振興を担うと定める部制条例があることなどを根拠に「条例案に違法性はない」と主張している。