第三者委の検証に協力の方針 女児死亡事件、AI提供の会社が三重県に伝達

津市で母親(42)から暴行を受けた三女=当時(4つ)=が死亡した事件で、AI(人工知能)を使った児童虐待対応システムを三重県に提供している会社が、第三者委員会による検証に協力する意向を県に伝えたことが26日、県への取材で分かった。

県などによると、この会社は川崎市内に本社を置く「AiCAN」。国立研究開発法人「産業技術総合研究所」から技術移転を受けたベンチャーで、県にAIを使った児童虐待支援システムを提供している。

同社は第三者委が設置された今月4日以降、第三者委の検証や再発防止に向けた県の取り組みに協力する意向を県に伝えたという。県はこの意向を第三者委の佐々木光明委員長(神戸学院大教授)に伝えた。

同社はAIの構造を把握しているほか、今回の事案を含めたシステムの処理経過を「ログデータ」として保有しているとみられる。第三者委が要請すれば、これらの情報が委員らに提供される可能性がある。

県は8月中に開かれる第三者委の2回目の会合で委員らに同社の意向を報告した上で、協力を受けるかどうかを聞き取る。子ども・福祉部は「協力を受けるかどうかは委員らの判断次第になる」としている。

事件を巡っては、児童相談所が虐待疑いのある三女の一時保護を見送る判断をした際、AIの評価を参考にしていたことが判明している。AIは当時、類似事例を踏まえた保護率を「39%」と算出していた。

また、第三者委の佐々木委員長は14日に開かれた初会合後の取材に対し、AIを活用した県のシステムを「見てみたいとは思う」としつつ、検証の対象にするかどうかは改めて協議する考えを示していた。