国有形文化財「麻吉旅館」テーマ企画展 伊勢の古市参宮街道資料館

【麻吉旅館の写真や図面などが並ぶ会場=伊勢市中之町の伊勢古市参宮街道資料館で】

【伊勢】三重県伊勢市の伊勢神宮内宮と外宮を結ぶ参宮街道沿いで江戸時代から営業を続ける「麻吉旅館」を中心に、市内の7つの国登録有形文化財を紹介する企画展が、同市中之町の伊勢古市参宮街道資料館で開かれている。8月6日まで。

麻吉旅館は、伊勢参りを終えた人々の歓楽街として栄えた古市地区で、200年以上続く宿。創業は明らかではないが、天保9(1838)年に焼失し、翌年に再建。内部は改装を施しながら、当時の姿を残す。傾斜地に建ち、建築様式は6層5階建て「懸崖(けんがい)造り」と呼ばれる独特の構造になっていて、平成17年に国の有形文化財に登録された。登録には、市内の一級建築士松月久和さん(81)が、測量や実測図の制作を担当し、力を尽くした。

企画展では、松月さんが手がけた建物の図面や写真、現在宿で使用している食器やのれん、調度品などを展示。松月さんが関わったほかの国登録有形文化財として、近鉄宇治山田駅や河崎地区の伊勢河崎商人館など6カ所についても紹介している。

同資料館の世古富保館長(75)は「この企画展を見た後、実際にその文化財に足を運んでみてほしい。今も現役で活動する松月さんの仕事に触れ、若い人たちの刺激になればと思う」と話していた。