<高校野球三重大会>津商・樋尾、サヨナラ負け「誰も悪くない」

【津商―宇治山田商 試合後、津商・樋尾捕手の肩に手を置く主戦松田=四日市球場で】

2―2でタイブレークに突入した延長十回裏。津商の主将兼主砲兼捕手の樋尾は、一回からマウンドに立ち続ける主戦右腕松田の微妙な変化を感じていた。

「八回くらいから抜けたボールが多くなった。長いイニングを投げているんで疲労がたまっている」。「腕振って、頑張れ」と励まし続けたが、ボール球が先行し始めた。

山商の7番打者を四球で塁に出すと1死満塁のピンチに。続く8番打者は三振に仕留めたが、9番打者への投球は再びボール球が先行した。

3ボール1ストライクと追い込まれて松田に要求したのは「真っ直ぐ」。しかし、150球を超え「ひじに力が入らなかった」松田が投じた5球目はワンバウンドして大きく逸れた。その瞬間、押し出し四球でのサヨナラ負けが決まった。

「正直、松田がああなってしまったらもう仕方がない。それより九回で(勝負を)決めきりたかった」。試合後、バッテリーとして最後の言葉をかわした時も「誰も悪くない。大丈夫やぞって声をかけました」。

高校卒業後は教員資格の取得と野球の両立を目指して大学に進学するという。高校入学後始めた捕手の練習も続ける。「しんどいこともあったんですけど最終的にキャッチャーをやっていて良かった」。「自分のリードで打者を抑えた時のうれしさ」を、これからも追求していくつもりだ。