AI虐待再発「13%」 津の女児死亡事件 実態より低く算出か 三重県

津市で母親(42)から暴行を受けた三女=当時(4つ)=が死亡した事件で、三重県が虐待疑いの通告を受けて使用したAI(人工知能)が、将来的に三女が再び被害を受ける可能性(再発率)を「13%」と算出していたことが12日、県への取材で分かった。入力した情報の少なさから、AIが再発率を実態より低く見積もった可能性がある。再発防止に向けた検証では、こうしたシステムの課題も議論されるとみられる。

県が運用している児童虐待対応支援システムは、類似の事案で過去に一時保護をした割合(保護率)のほか、同じ児童が半年以内に再び同様の被害を受ける再発率を算出する仕組みになっている。

児童相談所が今回の事案で初めてシステムを使ったのは「三女の両頬と両耳にあざがある」との通告を受けた昨年2月。担当者がけがの状態や場所などをシステムに入力し、AIは保護率を39%と算出した。

この保護率に加え、AIは当時、再発率を13%と算出した。児相の職員らは保護率だけでなく、再発率も参考にして対応を検討。三女の一時保護を見送り、定期的な見守りで対応することを決めた。

一方、母親は経済的な理由などから、三女を生後まもなく熊本市内の「赤ちゃんポスト」に預けていた。三女は乳児院を経て県内に戻ったとされるが、これらの情報は再発率に反映されていなかった。

県児童相談センターの中沢和哉所長は取材に対し、システムには過去にさかのぼってこれらの情報を入力する機能がなかったと説明。再発率が13%にとどまっていたことが、一時保護を見送った根拠ではないとした。

一方、これらの情報をシステムに入力できていれば再発率が高まった可能性があると認めた。「どのようなデータをシステムに入力できるようにすべきかは、改めて検討することになると思う」と話した。

システムは判断の迅速化や業務の効率化などを目的として、県が全国に先駆けて令和2年7月に運用を開始。児相の職員らはシステムを搭載したタブレット端末を携帯し、訪問先などでデータを入力している。