名張市収賄元職員に有罪 津地裁判決「巧妙で悪質」

三重県名張市発注の営繕工事の随意契約などで業者に便宜を図った見返りにゴルフクラブや現金を受け取ったとして、収賄の罪に問われた元同市都市整備部営繕住宅室長の中西隆之被告(52)の判決公判で、津地裁(西前征志裁判長)は10日、懲役1年6月、執行猶予3年、追徴金約25万円など(求刑=懲役1年6月、追徴金約25万円など)の判決を言い渡した。

西前裁判長は判決理由で、「公共工事の受注に際して便宜を図ったり、金を貸したりして公私にわたり親密な関係を築き、緊密に連絡を取り合って公共工事を受注させ、自らが指定した商品や代金に近い額を供与させるなど態様は巧妙かつ手慣れていて悪質。総額は少なくなく、公務員の職務の公正や、これに対する社会の信頼は大きく損なわれた」と指摘した。

弁護側の「入札価格は順当で業者や市に大きな損害は生じていない」とする主張については、「相見積もり業者を選定し、額を調整するなど競争原理が働かない方法で工事を受注させた」と退け、「残業手当等が支払われないからといって賄賂を収受してよいはずはなく、身勝手な動機に酌量の余地はない」と強調した。一方で弁護士協会に贖罪として寄付し、懲戒免職で社会的制裁を受けている点から執行猶予を認めた。

判決によると、中西被告は市発注工事などの見積もり業者を選定する立場で、工事受注の便宜に対する見返りとして令和3年5月―7月までの間、元会社役員の男(32)=贈賄罪で懲役10月の執行猶予付き有罪判決=からゴルフクラブ15本(計46万円)を受け取った。また同市教委発注の別の工事受注の便宜の見返りとして4年12月、会社役員の中嶋孝一被告(62)=贈賄罪で公判中=から現金18万円の供与を受けた。

北川裕之名張市長の話
本判決を重く受け止め、二度とこのような事件を起こさないよう、現在調査等を行っている第三者委並びに内部調査委の提言を踏まえながら、再発防止に早急に取り組むと共に、職員の服務規律、法令順守の徹底を図り、市民の皆様の信頼回復に向けて全職員一丸となって全力で取り組んでまいります。また私と副市長も監督責任を負い、給料を減額する条例案(10月分の給料を10分の1減額)を9月定例会議会に提案する予定としております。誠に申し訳ございませんでした。