陸上養殖スジアオノリ、初水揚げ 新たな伊勢の特産品に

【スジアオノリを養殖している水槽=伊勢市有滝町で】

【伊勢】三重県伊勢市有滝町の豊北漁港内で、伊勢湾漁協とノリ加工販売会社らが設立した共同事業体が、スジアオノリの陸上養殖に乗り出した。「伊勢の新たな特産品に育てあげ、雇用の創出にもつなげたい」と話す。

乗り出したのは、伊勢湾漁協とノリの加工販売を手がける「橋本屋徳兵衛」(松阪市)らが立ち上げた有限責任事業組合「IHK」。スジアオノリの陸上養殖施設は市内初となる。

【初水揚げされたスジアオノリ=伊勢市有滝町で】

スジアオノリは、お好み焼きなどに使う「青のり」の原料で、香り高い高級品種だが、近年、海水温の上昇など海の環境の変化で、全国的に生産量は大幅に減少。海面養殖に比べ海の環境に左右されることが少なく、通年生産が可能な陸上養殖で、安定供給を目指す。

施設立ち上げに向け、約1年前から、先進地で技術を学ぶなどして、5月下旬に稼働にこぎつけた。漁港内の、市が管理する国有地と漁協が持つ土地の約2千平方メートルに、円形の水槽45個を設置。地下からくみ上げた栄養豊富な海水を使ってノリの種苗を育てている。成長に合わせて水槽を変えながら、約3週間かけて育成し、10―15センチほどになったところで収穫。洗浄、脱水、乾燥の工程を経て出荷される。

このほど初水揚げが行われた。IHK代表の印南智夫さん(54)は「予想した以上に濃い緑色の、質のいいノリになった」と語った。初年度は、約1・5トンの生産を目標に掲げる。「今後、さらに水槽を増設して商品を安定供給できる体制を取り、伊勢を代表するブランドに育てていきたい」と話していた。